千葉妖怪伝説「その二十九 千葉県に繁殖する?!一本足妖怪」
千葉県の一本足妖怪として連想される「一本松の女」。この妖怪は確かに子供本専用の創作妖怪であるが、この妖怪の成立に影響を与えたと思われる妖怪に「七廻り塚の怪女」がまず指摘される。更にこの「一本松の女」の「松」というシチュエーションは「バラバラ松の怨霊」の要素が入っているのかもしれない。
なお「バラバラ松の怨霊」についても述べておこう。千葉房総地方の民話集に散見する怪談でかつて県内では有名な話であったようだ。(海岸の松の下で若い漁師が昼寝をする。するともの凄い怨霊が出てきて、若い漁師をくるしめる。目が覚めた漁師が、ベテランの漁師に相談すると、その松の下には昔、非業の最後を遂げた者が眠っているという。それ以来、誰もその松には近寄らなかった。)
大概はこんな話である。同じく千葉県下には
- 「化け松(浦安にあった松で深夜、その下を通ると箪笥などが上から降りてきて多くの住民を卒倒せしめた浦安の名だたる妖怪である)」
- 「ほいほい松(主人の馬をなくした男が馬を探しているうちに松の木の下で落雷に合い死亡、死後もほいほいという馬を呼ぶ男の声が消えたと伝えられている)」
などがある。松には霊的なモノが降りやすいと昔の人々は考えたのであろう。
いかがであろうか「一本松の女」「七廻り塚の怪女」「バラバラ松の怨霊」など一本足の足跡事件を連想させる妖怪は、意外に多い。
他にも都市伝説妖怪「かしまさん」「かしまれいこさん」などは自身が一本足とも、話を聞いた人の足を一本もらいに来るとも言われている。この都市伝説妖怪「かしまさん」「かしまれいこさん」は特に千葉県に限ったものではないが、この都市伝説の成立には「鹿島神宮」が深く関与しているという。この「鹿島神宮」も、千葉県に近いと言えば近い。
また「利根川おばけ話 加藤政晴 ろん書房」にも、一本足妖怪の記述がある。印旛沼には「一本足」と呼ばれる河童が棲んでいたというのだ。沼の中で佐久知穴というポイントがあり、底が深く水が噴き上げている。その場所は多くの魚が集まる場所だったのだが、そこでは度々一本足の河童がはねる姿が目撃されたという。
また神事でも「一本足」に関連深いものがある。坂戸神社という神社ではかつて生け贄をささげていたようで、その際、生け贄の足を片方切断したと言われている。
こうして考えて見ると、我が千葉県は「一本足」に関連深い。神事の生け贄から、「一本松の女」「七廻り塚の怪女」「バラバラ松の怨霊」「かしまさん」「河童の一本足」など妖怪たちにも一本足が多い。今回の船橋の一直線についた謎の足跡も零落した神か、或いは現代に復活した妖怪の仕業であろうか。どちらにしろ、このような怪事件により、新たな伝説が作られていくのであろう。
ちなみに、「一本足の妖怪伝説」は鉄の技術集団である「タタラ師」と関係があると昔から指摘されている。職業柄、フイゴを踏む足に障害を抱え、高熱の鉄を肉眼で確認する片目にも損傷を追いやすいのだというのが根拠である。この事をふと考えた場合、やはり君津や木更津に展開する鉄の大企業を連想してしまう。千葉は今も鉄で成り立つタタラの国なのだ。そして、今もタタラの神は一本足として跋扈する事あるようだ。
ご注意:
上記の記事は、地域情報サイト「まいぷれ」で掲載されていた「千葉妖怪伝説」というコンテンツを転載したものです。記載されている内容は、当時のものですので、現在の情報とは異なる可能性があります。ご了承ください。
まいぷれ編集部
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