おとぼけIT日記「おまけ パソコンの性能の見方(CPU、HD、RAM)」
本編のほうで言いましたとおり、かつてはパソコンを選ぶときに「CPU」「HD」「RAM」という三つのものの性能を見るのが定石でした。
いまでもこれらが大切であることには変わりはないのですが、コンピュータ技術の急激な進歩によって、これらは一般の人にはどうでもいいくらい十分に発達してしまいました。
パソコンの頭脳、CPU
シー・ピー・ユーとは、パソコンの頭脳です。これが高性能だと、パソコンも優秀だということになります。(CPU……Central Processing Unit。単にプロセッサーと呼ばれたり、MPU、中央演算装置などと言われることもありますが、全部同じ意味です)
人間にも頭の回転の速い人とそうでない人がいるように、パソコンの頭脳にも、「回転の速さ」があります。それが、パソコンの話をしているときによく聞く「100MHz」とか「500MHz」とかの数字です(MHzは”メガヘルツ”と読みます)。
おおまかに言うならば、「100MHz」と「500MHz」の違いは、1秒間に100回の計算ができるか500回の計算ができるか、だと思っていただいてかまいません。数字が大きい方が頭の回転が速い、つまい頭がいいということですね。
2000年12月現在、お店で普通に売られているパソコンのCPUは、だいたい400MHz~700MHzくらいだと思います。が、たとえばメールを送ったりワープロを使ったりするのに必要なのは、たぶん200MHzくらい。ちょっと工夫すれば、100MHzくらいの「頭脳」でも、十分使えるはずです(実際に2、3年前まではみんなそういうマシンを使っていたのですし)。つまり、今お店にあるパソコンはどれも、普通の人が使うには十分に賢いということです。
もう一つ付け加えるならば、CPUにはその頭の回転数の他に、種類による賢さの違いもあります。これも普通に使われる方は気にする必要がないことなのですが、一応軽く触れておきますと、最近のWindowsならば、インテルという会社のPentium III(ペンティアム・スリー)という種類か、その廉価版であるCeleron(セレロン)という種類のものが入っているのがほとんどです(もちろんCeleronは廉価版ですから、MHzの数字が同じなら、Pentium IIIのほうが高性能です)。よくパソコンのCMのあとに「ピポパポン♪」という音が入っていますよね。あれが、インテルという会社のCPUが入ってる印です。
が、最近はそれに対抗して、AMDという会社がAthlon(アスロン)、それの廉価版のDuron(デュロン)というCPUも作っていまして、現在インテル社とバチバチと火花を散らせています。どちらの会社にもファンがいて、お互いの優れた点を数え上げていますから、一概にどちらがいいとは言えません。(吉田、言うのが怖いです)
これがMacintoshになりますと、現在PowerPC G4という種類とPowerPC G3という種類があり、G4のほうが新しくて高性能です。その前は単なるPowerPCシリーズ、さらにその前にも68kシリーズなどありましたが、今売っている機種には使われていません。MacintoshのPowerPCシリーズは、WindowsのPentiumシリーズよりだいぶん周波数(例のMHzの数字)でおくれをとっており、がんばって欲しいところです。(ちなみにこのPowerPCシリーズというCPUを作っているのは、IBMとモトローラという二つの会社。IBMは、自分のとこのパソコンにはIntel社のPentiumを使い、自分の作ったCPUはよそのパソコンに使わせているわけです。おもしろいですね)
パソコン内の保管庫、HD
よくHDと略されていますが、正確にはHard Disk(ハードディスク)と呼ばれ、大量のデータを溜めておくところです。もしワープロを使われたことがある方でしたら、自分で作った文書は、フロッピーディスクに入れて保存することを知っておられますよね。
ハードディスクは、そのフロッピーディスクを超・超・大容量にして、パソコンの中に組み込んだものだと思ってください。現在発売されているパソコンはだいたい6GB~20GBくらいのHDが付いていますが、これはもう普通に使われる方にとっては途方もない量です。6GBと言えば、さっき言ったフロッピーディスク4389枚分。普通の本なら2万冊以上がまるごと入ります。
(映画を作りたいとか、音楽を作りたいという人だけは、6GBでは足りなくなるかも知れませんので、できるだけ大きなHDのついたものを選ばれた方がいいかも知れません。映像や音楽は、データの量が多いのです)
また、パソコンのHDには、自分で作った文書だけでなく、道具、つまりアプリケーション(ソフトとも言いますね)も入れておきます。つまりHDとは、道具も文書も丸ごと保存しておく、パソコンの保管場所のようなものです。大きければ大きいほど、いろんなものが入ります。
パソコン内の作業台、RAM
RAM(ラム、Random Access Memory)は、一般に「メモリ」と略されるものです。上のHDも一種のメモリなのですが、では、このRAMはHDとどう違うのでしょうか。
HDはさっき言いましたように、いろんなデータを溜めておくためのもの、いわば保管庫です。そしてRAMは、その保管庫にあるものをもっと近くに引っぱり出してきて、実際に作業するための作業台だということができます。といいますのも、HDは、たくさんのものが入るのと引き替えに、あちこちにいろんなものがあり、部屋も広いので、実際の作業には向かないのです。だからなにか作業をするときには、いったん必要な道具やデータを作業台(つまりRAM)の上に移して、それから作業を始めるのです。(もう少し技術的な話をすれば、HDのアクセスはRAMに比べて遅いので、直接そこで作業をするのは能率が悪いのです。また、RAMはアクセスが素早いかわりに電源を切ってしまったらデータも消えてしまうものなので、保管庫としてのHDも必要です)
今お店で売られているパソコンに入っているRAMは、だいたい64MB~128MBくらいでしょうか。作業台は広いほうがいいので、これは、できるだけ多いものを買われたほうがいいでしょう。ただし現在、このRAMという部品もずいぶん安くなっていますので、後から買って付け足すこともできます。
さて、以上がパソコンの性能を見る三つの指標、CPUとHDとRAMの簡単な説明です。
この程度ご存知であれば、まず困ることはありません。しかし、何度も繰り返しますが、現在お店で売られているパソコンは本当に普通の作業には十分な能力がありますので、これらの数字にこだわるよりは、本編で述べたようなことをよく見られたほうがいいと思います。
もしぼくの友人が、初めてパソコンを買うのに50万円のものを買おうとしているとしたら、ぼくはこう言って止めます。「それは、タバコを買いに行くためにポルシェを買うようなものだ」初心者の方は、50万円のパソコンを買うより、10~20万円のパソコンを買って、あと2万円でプリンタを買って、さらに5万円でデジカメを買って、残りの数十万円は貯金に回した方が、ずっといいいですよ。
最後に、パソコンに詳しい方のために、ちょっとした笑い話を。吉田の本棚に、「日本実業出版社」というちょっと堅めの会社から1994年に出版された、「マルチメディア入門」という本があります。当時の最新技術をやさしく解説してくれた、なかなかいい本です。
その中にある、「マルチメディアパソコンの条件とは?」という項目をここで引用してみましょう。これからはこれくらい高性能のものが必要になるだろう、という指標として挙げられているものです。
- CPUは25MHz以上
- HDは160MB以上
- RAMは4MB以上
- 倍速CD-ROMドライブ搭載
- 画面は640×480ドット
たいへん失礼ながら、笑ってしまいませんか?たった6年前のことですが、上の条件を満たす”最新”パソコンは、30万~40万円もしました。それがたとえば今11万8000円で売られているiMacは、
- CPUは400MHz (上の物の32倍)
- HDは10GB (64倍)
- RAMは64MB以上 (16倍)
- 24倍速CD-ROMドライブ (12倍)
- 画面は1024×768ドット (面積にして2.56倍)
これでお値段三分の一以下です。これは、上の本の作者が悪いのではありません。パソコンの世界はこういうものだ、ということです。
ご注意:
上記の記事は、地域情報サイト「まいぷれ」で掲載されていた「おとぼけIT日記」というコンテンツを転載したものです。記載されている内容は、当時のものですので、現在の情報とは異なる可能性があります。ご了承ください。
まいぷれ編集部
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